型枠大工

型枠大工とは?歴25年職人が語る仕事内容と他業種との違い

「型枠大工とは、どんな仕事ですか?」

そう聞かれて、すぐに答えられる人は意外と少ないと思います。

実は、これは現役の型枠大工自身がよく口にする悩みでもあります。Xでこんな投稿を見つけました。

(現役型枠大工のX投稿より要約)

私は型枠大工として現場に立って25年になります。

この記事では、私が実際に経験してきた仕事の流れをもとに、型枠大工とは何をする仕事なのか、他の建設職種と何が違うのかを、包み隠さず説明していきます。

型枠大工とは何をする仕事か

結論から言うと、型枠大工とはコンクリート構造物の「型」を作る専門職です。

マンションやビル、橋や高速道路など、コンクリートでできた建物・構造物は、そのままではただの液体のコンクリートを流し込むための「型」が必要になります。その型を、木の板(パネル)や金属の資材を使って組み立てるのが、私たち型枠大工の仕事です。

型枠の精度が、そのまま建物の完成度に直結します。建物の骨格の「型」を最初に作る、いわば縁の下の力持ちのような工程です。

型枠大工の仕事の流れ(着工から完成まで)

型枠大工の仕事は、1日で完結するものではありません。ここでは、私が実際に現場で経験してきた、着工から完成までの一連の流れを紹介します。

  1. 着工前の準備(下見・打ち合わせ・拾い出し・加工)
  2. 現場での組み立て(墨出し・建て込み・返し壁・梁型枠)
  3. コンクリート打設まで(スラブ段取り・締固め・段差枠)

それでは、1つずつ見ていきましょう。

着工前の準備(下見・打ち合わせ・拾い出し・加工)

まず、工事に入る前に現場の下見をします。その後、元請けとの打ち合わせを行い、図面データをパソコンに入れて「拾い出し」という作業をします。

拾い出しとは、加工図を作成したり、セパレーターやパイプなど必要な資材の数量を図面から算出したりする作業のことです。現場では大きなA1サイズの図面を使うこともあります。

拾い出しが終われば、実際に使うパネルや資材を加工していきます。ここまでが、現場に入る前の準備段階です。

現場での組み立て(墨出し・建て込み・返し壁・梁型枠)

資材が現場に搬入されたら、まず「墨出し」を行います。これは、柱や壁を建てる正確な位置の基準線を出す作業です。

基準線に合わせて桟木(さんぎ)を敷き、外部・柱・片壁の「建て込み」(パネルを組み立てて立てていく作業)を進めます。柱の型枠は、桟木を骨組みにしてパネルを組み、外側からパイプで締め固めるのが基本の構造です。

タケシ

資材ってこんなに重いんですか…!?想像してたよりずっと大変です

俺も未経験1年目の頃は同じこと思ったよ。ただな、それ以上に「これで稼げる」ってワクワクの方が正直勝ってたんだ

ゲンさん

その後、「返し壁」「梁型枠」と工程が進みます。梁型枠は、地上で組み立ててからクレーンで吊り上げる場合と、その場で手作業で組み上げる場合の両方があります。

コンクリート打設まで(スラブ段取り・締固め・段差枠)

柱や壁の型枠ができたら、床にあたる「スラブ」の段取り・型枠貼りを行います。

そこから「締固め」という、型枠全体をしっかり固定する作業に入ります。締固めの順序は、工程や現場ごとに異なります。段差がある部分には「段差枠」を組み、最後に全体をまとめて確認したら、いよいよコンクリート打設です。

ここまでの一連の流れを経て、ようやく建物の「型」が完成します。文章にすると単純に見えるかもしれませんが、実際には現場ごとに条件が違い、毎回段取りを組み直す必要があります。

型枠大工と他の建設職種との違い

型枠大工は、鳶職や鉄筋工など、他の建設職種とセットで語られることが多い仕事です。ここでは、その違いを2つの側面から説明します。

  1. 体力面での違い
  2. 「頭を使う」専門性という側面

それでは、1つずつ見ていきましょう。

体力面での違い

Yahoo!知恵袋で「型枠大工と鉄筋工ではどちらが大変か」という質問を見つけました。

(現役型枠大工のX投稿より要約)

これは、私も同感です。扱う資材の量そのものが多いのが、型枠大工という仕事の体力面での特徴だと感じています。

「頭を使う」専門性という側面

型枠大工は「体力勝負の肉体労働」というイメージで語られがちです。ですが、実際に25年やってきた立場から言うと、それだけでは語れない仕事です。

先ほど紹介した「拾い出し」のように、図面を見て寸法を計算し、どの順番で組み立てるか段取りを組む作業が必ず発生します。段取りを間違えると、後の工程すべてに響いてしまいます。

【画像挿入:4コマ漫画「拾い出しは頭を使う仕事」(ゲンさん・タケシ)】

Yahoo!知恵袋にも、こんなやり取りがありました。半年ほどの経験者が「建て込みや返し、敷桟、スラブ段取りはできるがスピードが遅く悩んでいる」と相談したところ、ベテラン職人からこんな回答が寄せられていました。

(Yahoo!知恵袋のベストアンサーより要約)

「段取り八分」という言葉があるように、実際に手を動かす前の準備・計画が、仕事の8割を決めるという考え方が現場には根付いています。単純な肉体労働のイメージだけで語れる仕事ではない、というのはこういうことです。

型枠大工に向いている人の特徴

ここまでの内容を踏まえて、型枠大工に向いている人の特徴を3つ挙げます。

  • 体力に自信がある、または体力をつける覚悟がある人
  • 段取りを考えるのが苦にならない人
  • 図面や数字を読むことに拒否反応がない人

この3つのうち、最初から全部揃っている必要はありません。体力は現場に出ていれば自然についてきますし、段取り力や図面を読む力は、経験を積む中で身についていくものです。

大事なのは、覚える気があるかどうかだと、私は思っています。

型枠大工の仕事について、世間ではこう言われている

ここで、型枠大工についてネット上で見つけた、いくつかの声を紹介します。

Yahoo!知恵袋で「型枠大工って難しい仕事ですか?」という質問に、経験者からこんな回答がありました。

(Yahoo!知恵袋の回答より要約)

正直な感想だと思います。覚えるまで時間がかかり、体力的にも疲れるというのは事実です。ただ、それに見合うだけの収入があるというのも、また事実です。

一方で、建設業界の匿名掲示板では、こんな不満の声も見かけます。

「仕事量は建設業の中でもトップの部類に入るが、単価の安さも建設業の中でトップクラス」「精度を要求される仕事なのになぜこんなに安い」といった、専門性の高さと待遇のギャップを嘆く声です。

この気持ちも、正直よく分かります。高い精度が求められる仕事であるにもかかわらず、それが正当に評価されていないと感じる場面は、私自身も何度も経験してきました。

給料の実態については、こちらの記事で詳しく説明しています。

もし型枠大工に興味が湧いたら、まずは話を聞いてみませんか

未経験からのスタートでも大丈夫です。東京都足立区の株式会社似鳥型枠で、実際に働く前に率直に話を聞いてみませんか。

型枠大工の給料はどれくらい?

仕事内容が分かったところで、気になるのは給料だと思います。

結論から言うと、未経験1年目で日給10,000円〜12,000円程度が目安で、経験を積むごとに着実に上がっていきます。経験年数別の詳しい相場や、給料の仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

型枠大工に関するよくある質問

はい、同じ仕事を指します。現場や会社によって呼び方が異なるだけで、コンクリート構造物の型枠を作る専門職という点は共通しています。

なれます。多くの現場が未経験者を受け入れており、下見・拾い出しといった準備段階から少しずつ仕事を覚えていく流れが一般的です。体力に加え、段取りを覚える意欲があれば十分に始められます。

鳶職は足場の組立や高所での作業を専門とするのに対し、型枠大工はコンクリートを流し込むための「型」そのものを作る仕事です。同じ建設現場で働きますが、担う工程がまったく異なります。

図面を読む力と段取りを組む力が重要です。近年は加工図の作成にCADを使う場面も増えており、経験を積む中でこうしたスキルも自然と身についていきます。

まとめ

型枠大工とは、コンクリート構造物の「型」を作る専門職です。

下見・打ち合わせから始まり、拾い出し、墨出し、建て込み、コンクリート打設まで、決まった順番で進む一連の工程があります。体力は必要ですが、図面を読み段取りを組む力が問われる、頭を使う仕事でもあります。

「体力勝負の肉体労働」という一面だけでなく、専門職としての側面も知ったうえで、この仕事に興味を持ってもらえたら嬉しいです。

この記事が、あなたが型枠大工という仕事を理解するための一助になれば幸いです。

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